妊娠すると、体の状態が大きく変化し、今まで経験したことのない症状に悩まされることがあります。
その一つが、お尻のトラブル。
特に妊娠中期や後期は便秘や痔になるリスクが高いので気を付けたいですね。
今回は、「ひなたクリニック」院長で産婦人科医の三橋裕一先生に、妊娠中の痔の原因や予防法、痔になってしまったときのケアについて解説していただきました。
あわせてedimo編集部おすすめの、妊娠中でも使用可能な痔や便秘の薬を紹介します。
取材・監修協力※商品紹介部分は取材・監修範囲外です
産婦人科専門医
三橋 裕一
医療法人社団みぶな会 ひなたクリニック院長。
1968年生まれの54歳。医師になり28年目。福島県会津若松市出身で2007年に札幌でひなたクリニックを開業。産婦人科医の傍ら、総合格闘技のリングドクターとしても活動。
趣味はお酒とバイクジムカーナ。利き酒師やフードマイスターの資格も保有。
新事業の『婦人科で行う内診台を使用したVIO介護脱毛』に日々奮闘中。
医療法人社団みぶな会 ひなたクリニック
札幌市中央区北3条西4丁目1−1 日本生命札幌ビル3F
http://hinataclinic.com/
目次
痔とは、肛門周辺がうっ血して硬いしこりのように膨らむ「痔核(いぼ痔)」、肛門付近に膿の穴ができて化膿を繰り返す「痔瘻(あな痔)」、肛門付近が切れたり裂けたりする「裂肛(切れ痔)」の3つを総称したもの。
日本人の3割以上がかかるといわれるほど身近な病気です。
痔の原因は、便秘と下痢。
硬い便を出すため強くいきむと、肛門周辺がうっ血して痔核(いぼ痔)ができたり、肛門の皮膚が切れて裂肛(切れ痔)ができたりします。
また、水のような下痢便が勢いよく排出されることによって肛門に負荷がかかることも、痔を引き起こします。
妊婦の痔の原因は便秘によるものがほとんど。
妊婦は特に便秘になりやすいのです。
その理由は主に4つあります。
1つ目はホルモンの影響。
妊娠すると黄体ホルモンの分泌が増えるのですが、黄体ホルモンには腸の動きを悪くする作用があるため、便秘になりがちです。
2つ目は、妊娠して子宮が大きくなっていくことで、腸や肛門周辺の血管が圧迫され、うっ血しやすくなることです。
3つ目は、妊娠による食生活や運動習慣の変化。
つわりで食べられるものが限定されたり、お腹が大きくなるにつれて運動量が減ったりすることにより、腸の動きが弱まってしまうのです。
4つ目は、鉄分。
妊娠中には貧血になることが多く、鉄分を含むサプリを摂取する妊婦も多いのですが、その鉄分が消化器官の動きを弱めるため、便秘を引き起こします。
妊婦中になりやすい痔は、「痔核(いぼ痔)」と「裂肛(切れ痔)」です。
いずれも、排便時の痛みや出血を伴います。
「痔核(いぼ痔)」は、肛門の内側にできる場合と外側にできる場合があります。
何より、便秘にならないようにすることが大切です。
食物繊維の豊富な食生活を心掛け、乳酸菌や水分をしっかり摂取しましょう。
また、ウオーキングなど適度な運動も、腸の働きを促してくれます。
妊娠中に薬を使用するのは、いろいろと心配ですよね。
痔や便秘の薬についても、まずは担当の産婦人科医に相談するようにしましょう。
市販薬を使用する場合、胎児や母体に影響のある成分が配合されていないものを選ぶ必要があります。
薬の取扱説明書やメーカー公式サイトに「妊娠中にも使用できます」と表記されたものなら安心ですよ。
※監修者は以下で紹介する商品について、選定や紹介文の監修は行っておりません。edimo編集部が独自に行っています。
※紹介商品は、上記記事内で記載した効果・効能を保証するものではありません。ご購入にあたっては、各商品に記載されている説明文をご確認ください。
※商品によってはユーザーのレコメンドが記載されています。これらは個人の感想であり、効果効能を示すものではありません。
抗炎症成分、局所麻酔成分、傷の治りを助ける成分、うっ血を改善する4種類の有効成分が、痔の痛みやかゆみを緩和します。
刺激が少なくて塗りやすい滑らかな軟膏タイプ。
非ステロイドで妊娠中にも使用できます。
おすすめポイント
・非ステロイドの軟膏
・4種の有効成分が痔の痛みやかゆみを緩和
江戸末期の名医・華岡青洲が作った漢方薬の軟膏。
抗菌、消炎、鎮痛、皮膚再生などの作用がある複数の生薬から作られています。
痔のほか、傷、火傷、湿疹、皮膚炎などさまざまな皮膚トラブルに幅広く対応。
ステロイドは配合されていません。
おすすめポイント
・非ステロイドの軟膏
・幅広い肌トラブルに対応する生薬を配合
商品名 | クラシエ紫雲膏(第2類医薬品) |
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ブランド | クラシエ薬品 |
メーカー | クラシエ薬品 |
種類 | 軟膏 |
効能 | ひび、あかぎれ、しもやけ、魚の目、あせも、ただれ、外傷、やけど、痔核による疼痛、後門裂傷、湿疹・皮膚炎 |
小腸~大腸で働く3つの活性菌(小腸:糖化菌、小腸~大腸:乳酸菌、大腸:酪酸菌を配合。
生きた菌が腸まで届いて、腸内フローラと大腸のバリア機能を改善し、便通を整えます。
便秘や軟便、腹部膨満感に効果があります。
妊娠・授乳期の服用可。5歳未満は服用しないこと。
おすすめポイント
・3つの菌が生きたまま腸に届く
・腸内フローラと大腸のバリア機能を改善
酸化マグネシウム配合により、腸内の水分を集めて便を軟化させ、スムーズな排便を促す便秘薬です。
酸化マグネシウムはお腹が痛くなったりクセになったりしにくい非刺激性。
酸化マグネシウムは効き目が穏やかで体内にほとんど吸収されないので、妊婦の便秘にも広く使用されています。
おすすめポイント
・便を軟化させる酸化マグネシウム配合
・体内にほとんど吸収されず効き目が穏やかな非刺激性
商品名 | 酸化マグネシウムE便秘薬(第3類医薬品) |
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ブランド | ― |
メーカー | 健栄製薬 |
種類 | 錠剤(便秘薬) |
効能 | 便秘、便秘に伴う次の症状の緩和:頭重、のぼせ、肌あれ、吹出物、食欲不振(食欲減退)、腹部膨満、腸内以上醗酵、痔 |
商品名 | ボラギノールⓇM軟膏(第2類医薬品) | クラシエ紫雲膏(第2類医薬品) | ビオスリー®Hi錠(指定医薬部外品) | 酸化マグネシウムE便秘薬(第3類医薬品) |
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ブランド | ボラギノール® | クラシエ薬品 | ビオスリー® | ― |
メーカー | 天藤製薬 | クラシエ製薬 | アリナミン製薬 | 健栄製薬 |
種類 | 軟膏 | 軟膏 | 錠剤(便秘薬) | 錠剤(便秘薬) |
効能 | いぼ痔、きれ痔(さけ痔)の痛み・かゆみの緩和 | ひび、あかぎれ、しもやけ、魚の目、あせも、ただれ、外傷、やけど、痔核による疼痛、後門裂傷、湿疹・皮膚炎 | 整腸(便通を整える)、便秘、軟便、腹部膨満感 | 便秘、便秘に伴う次の症状の緩和:頭重、のぼせ、肌あれ、吹出物、食欲不振(食欲減退)、腹部膨満、腸内以上醗酵、痔 |
商品詳細 | ||||
多くの妊婦が悩まされるという便秘や痔。
妊娠ライフを健やかに楽しむためには、便秘や痔の原因について知識を持ち、食生活に気をつけて適度な運動も心掛けるなど、予防に努めることが大切です。
それでも便秘や痔になってしまった場合は、今回ご紹介した薬の使用も検討してみてくださいね。