2021.09.14
爪が皮膚に食い込んで、日常的に違和感や痛みの起こる「巻き爪」。
放っておくと痛みを増し、時に外科的治療が必要になることもあります。
しかしひどくなる前であれば、セルフケアで改善が期待できます。
今回は、巻き爪になる原因やその対策について、うるおい皮ふ科クリニック院長の豊田雅彦先生にお聞きしました。
取材・監修協力※商品紹介部分は取材・監修範囲外です
皮膚科医
豊田雅彦
うるおい皮ふ科クリニック 院長。かゆみをなくすことをライフワークに掲げ、患者さんが希望を持てる診療に日々尽力。現在までに2,000以上の医学論文・医学専門書を執筆。また、国内外で年間最多250以上の講演会・学会発表・保健所指導を行う。受診患者の99%(年間約3万人)の症状を軽減・消失に導いた、世界有数の皮膚病・かゆみのスペシャリスト。
うるおい皮ふ科クリニック
千葉県松戸市日暮1丁目16-7
http://www.uruoihifuka.com/pc/index.html
目次
巻き爪が起こる原因には、骨格や骨の形状が原因となる「先天的な要因」以外に、普段の爪の切り方や、歩き方が引き金となっていることもあります。
まずは、考えられる主な要因を見ていきましょう。
巻き爪が起こる原因の第一に挙げられるのが、深爪です。
歩く時は、足の指(特に親指)には体重の数倍の力がかかりますが、爪にはこの力に抵抗する役割があります。
しかし深爪の場合、抵抗力が十分に機能できません。
その結果、爪の先の皮膚が力を受けて盛り上がってしまいます。
それにより、爪はまっすぐに伸びることができず、厚みが増し両端が丸まって巻き爪になります。
なお、爪の伸ばし過ぎも巻き爪の原因となることがあります。
陥入爪とは、深爪の角がトゲのような状態で皮膚に突き刺さり、痛みや炎症を引き起こすもの。
爪の両端をわずかでも切り残したり、爪の先端を角切りしたりした場合に起こります。
この痛みを何とかしようと深爪を繰り返すと、その時だけは痛みは治まるものの、炎症を伴って爪周囲の皮膚が炎症・化膿などを生じ、巻き爪になります。
外反母趾がある場合や足の形に合わない靴を履いている場合、人差し指が親指を上から押さえつけ、過剰な負荷をかけることがあります。
すると親指の爪がまっすぐ伸びることができず、巻き爪になります。
本来、爪は丸まっていく性質がありますが、歩行時に地面からの力が加わることで平らな形になります。
しかし力が加わらない状態が続くと爪は丸まったまま、巻き爪になります。
足の指に力を入れずぺたぺたと歩く癖がある人や寝たきりの人など、親指に体重がかからない状態が長く続くと巻き爪になります。
上記のほか、歩き方のクセや足の形などによっても、巻き爪になりやすい人がいます。
<巻き爪になりやすい人の特徴>
・つま先を外側に向けて歩く癖がある
・膝が内側に入るように歩く癖がある
・爪が薄くて柔らかい人
・スポーツで足の指や爪に激しい負荷をかける習慣のある人
・ハイヒールやパンプスを履く人(5本の指のつけ根を横に結ぶアーチの形が崩れて、足の指が横に広がる傾向がある)
実は、巻き爪の「見た目の爪の巻き具合」と「痛みや炎症」は必ずしも比例しません。
例えば、重度の巻き爪の例として「弯曲爪」というものがあります。
これは、爪の両端だけでなく、全体が内側に巻いている状態。
前方から見ると爪先が逆U字型やアルファベットのCのように見えます。
さらに曲がり方が強くなると「の」の字型や円形に近くなります。
巻き具合が強いうえ、痛みも強そうに感じますが、実は痛みや腫れなどの症状がない人も珍しくありません。
こうしたことから、巻き爪の進行は自分の感じる「痛みや炎症の程度」で判断するといいでしょう。
巻き爪による痛みが軽度あるいは痛みを感じる頻度・持続時間が時々の場合は、まずセルフケアで対応してみてもいいですね。
ただし、めりこんだ爪が皮膚に刺さって爪の周囲に腫れ・出血・化膿がある場合や、半年以上セルフケアをしても改善が認められない場合には医療機関で治療を受けることをおすすめします。
市販の巻き爪矯正器具を正しく用いることで、セルフケアでも痛みを軽減させる効果が期待できます。
それぞれの道具の特徴をよく調べた上で、自分の症状に合ったものを選ぶようにしましょう。
以下に代表的なケア方法をご紹介します。
巻き爪の最も簡単な応急処置としてよく行われる方法です。
お風呂上りなど、爪が柔らかく清潔なときに行います。
<コットンパッキングのやり方>
1. 乾いたコットンを米粒程度に丸めて、ピンセットで爪と肉の間に入れる。
2.食い込んだ爪を指の外に出すように持ち上げる。
コットンを詰めることで、爪と肉の間に隙間ができます。
これを繰り返すうちに、爪の角が上に伸びて肉に刺さらなくなり、痛みの緩和が期待できます。
綿は無理に綿を詰め込むと爪が折れてしまう恐れがあるため、一度にたくさん詰めすぎないようにしましょう。
爪が薄い方はコットンを少しずつ詰めるといいですよ。
軽い陥入爪の場合におすすめなのが、手軽でコスパの良いテーピングです。
ポイントは、皮膚を爪から引き離すように引っ張ること。
爪がくい込んでいる指の皮膚にテープを貼り、その後らせん状にねじりながら、引っ張りつつ足にテープを貼ります。
爪を切りすぎて生じたような一過性の陥入爪であれば、この方法で改善が期待できます。
巻き爪用のクリップを使い、爪を矯正して伸ばす方法もあります。
一般医療機器として市販されており、自分で付け外しできるのがメリットです。
クリップの両端にあるフックを爪先に引っ掛け、テープで固定するだけの簡単な矯正方法なので手軽に試せます。
ただし、深爪をしていると装着ができません。
巻き爪の程度や爪の形、大きさ、厚さによっては別の対処が必要です。
【監修者】皮膚科医豊田雅彦のコメント
※監修者は以下で紹介する商品について、選定や紹介文の監修は行っておりません。edimo編集部が独自に行っています。
※紹介商品は、上記記事内で記載した効果・効能を保証するものではありません。ご購入にあたっては、各商品に記載されている説明文をご確認ください。
※商品によってはユーザーのレコメンドが記載されています。これらは個人の感想であり、効果効能を示すものではありません。
メディカルフットケア師の山本成美先生が監修したシールタイプの巻き爪ケアテープ。
内蔵した樹脂プレートシールを爪に貼ると、その弾性で巻き爪を引き上げ、食い込みを和らげます。
シールをはがれにくくする爪磨きシート付き。
80枚入りと大容量で、使い捨てタイプなので衛生的で安心して使えます。
色はベージュで、貼っても目立ちにくいのも嬉しいポイントですね。
ここがおすすめ
・メディカルフットケア師が監修
・はがれにくくする爪磨きシート付き
伸縮性の高いテープが、巻き爪の食い込みを防止してくれます。
使い方は、巻き爪になっている部分の肌にテープの端を貼り付け、そのままテーピングをするように指にぐるりと巻きつけるだけ。
携帯ケース付きなので持ち運びにも便利です。
外出先など、痛みを感じたタイミングですぐにケアできるのもうれしいですね。
ここがおすすめ
・伸縮性の高いテープを貼るだけでOK
・携帯ケース付きで持ち運びに便利
比較的軽度な巻き爪の人におすすめの、巻き爪ケア用テープ。
薄型テープを爪と指の間を押し下げながら足指に貼るだけで、爪の食い込みによる痛みを軽減してくれます。
フットケア専用に開発されたテープで、使い捨てタイプなので、長時間付けていても衛生的に使えて安心。
強力な粘着力で、歩いていても剥がれにくいのも嬉しいポイントです。
厚さはたった0.5mmでベージュ色なので目立たないというのもいいですね。
ここがおすすめ
・フットケア専用に開発されたテープが、爪の食い込む痛みを軽減
・強力な粘着力で歩いても剥がれにくい
外反母趾保護固定用品ブランド「足指小町」が手掛けるテープタイプのケアグッズ。
約30年にわたり、10万人以上の足を診察した実績を持つ外反母趾研究家の笠原巌先生が監修しています。
皮膚をテープで引っ張り爪の食い込みを和らげますが、ポイントはテープ両端の形状。
指や爪の形に合わせやすいよう、それぞれ異なる形状をしています。
使い捨てタイプなので、衛生的。
薄型で目立ちにくい肌色です。
ここがおすすめ
・外反母趾研究家が監修
・指や爪の形に合わせやすい2way形状
自分で簡単に装着できる、プレート状の巻き爪矯正クリップ。
クリップの両端にあるフックで爪先をはさんだら、テープで固定するだけで装着完了。
形状記憶合金が、爪が広がるまでずっと力を加え続けてくれます。
サイズは爪の幅に合わせたS、M、Lの3種類。
自分の爪に合ったものが選べます。
ここがおすすめ
・プレート状の矯正クリップ
・自分の爪の幅に合わせたサイズが選べる
形状記憶合金ワイヤーが巻き爪を引き上げ、爪が平らになるようにクセ付けします。
フックを爪に引っかけ保護テープを貼ることで、痛みを緩和します。
保護テープは使い捨てなので衛生的。
治療院でも行っている、形状記憶合金を使ったケアが自宅できます。
装着したまま靴が履けるのでそのまま外出できるのも嬉しいですね。
ここがおすすめ
・治療院でも行っている、形状記憶合金を使ったケアが自宅で可能
・安心の一般医療機器
ノーマル、ハード、スーパーハード、ウルトラハードの4種類の矯正力の中から、自分に合うものが選べる巻き爪矯正器具。
サイズもSS、S、M、Lの4種類あり、悩みにしっかり対応してくれます。
しっかりフィットする特殊カバー付きで、付けたままランニングなどの運動も可能。
矯正しながらでも安心して日常生活を送れます。
取付具など付属品がセットになっていますが、セット品購入後は単品購入も可能です。
ここがおすすめ
・自分に合うサイズと矯正力が選べる
・装着したままランニングも可能
装着前
装着直後
2週間後
強度・耐腐食性に優れたニッケルチタン製の巻き爪矯正器具。
器具のカーブが爪に食い込み、外れにくい仕様になっています。
装着に必要なピンセットや詳しい装着手順が記載された説明書がセットになっています。
また、装着手順は公式サイトにて動画で見ることもできるのでわかりやすく、初めての方でも安心です。
足の親指以外にもフィットしやすい、ミニサイズもあります。
ここがおすすめ
・強度・耐腐食性に優れたニッケルチタン
・装着手順は動画で見られる
商品名 | 巻爪ケアPROサポートシール | 巻爪用ケアテープ 携帯ケース付(20枚) | 巻き爪テープ クイこまーぬ | 巻き爪テープ 2WAYタイプ | 巻き爪用クリップ | 巻き爪ワイヤーガード | 巻き爪ブロック | ネイルエイド |
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ブランド | コジット | フットリフレ | サイプラス | 足指小町 | Dr.Scholl | サイプラス | 鹿浜製作所 | 巻き爪・陥入爪治療の相談室 |
メーカー | コジット | 浅井商事 | サイプラス | ミノウラ | レキットベンキーザー・ジャパン | サイプラス | 鹿浜製作所 | ひまわりコーポレーション |
タイプ | テープ | テープ | テープ | テープ | ワイヤー | ワイヤー | ワイヤー | ワイヤー |
商品詳細 | ||||||||
巻き爪に悩んでいる方は、悪化する前にぜひ自分に合ったアイテムを見つけて試してみてくださいね。
ただし、どうしても痛みが強い場合は病院に行くなど、早めに対処するようにしましょう。
<掲載商品はedimo編集部が実際に連絡を行い、コンタクトが取れたメーカーのものだけに限定しています。※一部国内プレスリリースでの確認>
上記で紹介した方法はいずれも、極端な深爪をしている場合は実施できません。
なによりもまずは正しい爪切りと、爪を適度に伸ばすことが大切です。
爪切りは3~4週に1回程度でOK。
爪の長さは指先と同じまたは1mm程長いくらいが適切です。
形は皮膚から水平に切って角を残す「スクエアカット」がおすすめです。
また、適切なサイズの靴を履くことも重要です。
小さくすぎる靴はもちろん、大きすぎてもNG。
指先の余裕は5~10mmぐらいを目安にして、自分の足型や「土踏まず」がきちんとフィットしている靴を選ぶことが大切です。
足の指に負担をかけないような先端がやや幅広の靴を選ぶといいですね。